豊田市の中心市街地で調味料やタマゴ素材品を生産するキユーピー拳母工場（豊田市日南町）が、2023年を目途に全ての生産活動を終了する。キユーピー（東京都渋谷区）が7月26日、発表した。

2023年を目途に全ての生産活動を終了するキユーピー拳母（ころも）工場

　同工場は1958（昭和33）年に開設され、マヨネーズやドレッシングなどの調味料や卵製品を生産する主力工場の一つとして生産活動を行っている。現存する同社の工場としては最も古く、老朽化が進んでいることから、経年劣化に伴う維持コスト面が課題となっていた。

　そのため同工場で製造する調味料のうち、生産効率が求められる主力のマヨネーズ・ドレッシングについては神戸工場（兵庫県神戸市）と五霞（ごか）工場（茨城県猿島郡）へ移管し、タマゴ素材品については、各エリアにおけるグループの生産拠点に移管し、生産効率を高めることを計画。PV（プライベートブランド）製品やキャラクター柄の瓶入りマヨネーズなど多品種少量生産の商品については泉佐野工場（大阪府泉佐野市）と中河原工場（東京都府中市）へ移管する。

　同社は、中期経営計画の中で「移管と集約によって、効率化とフレキシブルな対応力を一層強化し、『持続的成長』の実現をさらに加速させていき、国内の生産拠点の最適化を進める」と説明。「業務移管は2023年度中に完了し、同工場の生産拠点としての役目を終えるが、雇用についてはグループ拠点への異動を含め、その確保に努めるという。工場跡地については、有効な活用方法を検討していく」とコメントしている。

　同社広報部担当者は「小学校の社会科見学やグループでの工場見学で地元の人に親しんでもらっているので社内でも名残惜しいという声が上がっている。拳母工場のことを地元の人にもっと知ってもらえるようオンラインの工場見学も行っているので、多くの人に参加してほしい」と話す。