
豊田市足助地区で活動している聞き書きボランティア団体「あすけ聞き書き隊」が6月28日、足助の聞き書き第10集完成報告会「聞きフェス」を開催した。
ボランティア団体・あすけ聞き書き隊、「百年草」で第10集完成報告会
聞き書きは、語り手が話した言葉をそのまま書きとめ、語り手が目の前で今まさに話しているかのような文章としてまとめていく手法。同地区では豊田市主催の事業として始まり、講座を通じNPO法人「共存の森ネットワーク」から聞き書き手法の指導を受けた有志が集まり団体を発足させた。
これまでに同地区に住む80歳前後の高齢者から昔の暮らしや考え方、なりわいについての話を聞き、出版する活動に取り組み、豊田市の地域予算提案事業として2010~2020年度、第1~9集を発行。本年度は、活動の集大成として2023年から制作に取り組んできた第10集を発行したことを受け、完成報告会を開催した。
当日は、足助地区の福祉施設「百年草」を会場に約50人が参加。聞き書きの指導に携わってきた「共存の森ネットワーク」副理事長の吉野奈保子さんがコーディネーターを務め、第10集で取材を受けた話し手が、取材を担当した聞き手と共に3グループに分かれて登壇。取材を受けた時の感想や作品集の中で語った話題について紹介した。
この中で、話し手がかつて携わってきた大工仕事や森づくり、少年時代に体験した戦時下でのエピソードなど、作品集に掲載された話のエピソードなどを紹介する場面もあり、来場者は熱心に耳を傾けていた。
「あすけ聞き書き隊」代表の浦野友理さんは「話し手の皆さんの協力で、第1集から15年かけて第10集の発行に至ることができた。皆さんの貴重な体験を聞き書き集として残すことができ、足助にとって宝物ができた。この聞き書き集を通じて、足助の魅力が伝わるよう活動の輪を広げていければ」と笑顔を見せる。