豊田市本多記念民芸の森(平戸橋町)で現在、森の本多コレクション展
「祈りのかたち」が開催されている。
同施設は、通信事業やエフエム愛知を創業した実業家で日本を代表する古陶磁研究家でもあった、豊田市名誉市民・本多静雄氏の邸宅があった場所を譲り受け整備したもの。
同展は、本多氏の収集資料の中から、人々の祈りが込められた造形物や、願いを込めてかたどり、文様を施した作品など43点を展示する。
会場の田舎家には、右手にしゃもじ、左手にわんを持ち、米のとぎ汁などで顔が白く塗られている、稲作の神として水田のほとりに祀られた「田の神」や、瓦ぶき職人が最後の仕上げとして、その家の幸せを祈り、屋根の上で瓦の破片を使いしっくいで肉付けをして作り上げた「屋根獅子」などを初めて展示。
このほか、本多氏が熱心に収集・研究を行ったこま犬をはじめハスの葉や菊の文様をあしらった、花を供えるための仏具である「花瓶(けびょう)」厄よけや学業成就に効果があるとされる「鍾馗(しょうき)」が描かれた「大津絵」なども見ることができる。
縁起の良い菊の文様を餅に施すための朝鮮の「餅型」、エジプトの太陽神の化身とされたスカラベ(フンコロガシ)をモチーフにした「陶製のスカラベ」、邪悪なものから身を守るために小さな鏡が生地に縫い付けられたインドの「ミラー刺しゅうの壁掛け」など、日本以外のものも展示。人々が暮らしの中で、どのような形で幸せを願い、祈ったのかが感じられる内容となっている。
豊田市民芸館・学芸員の岩間千秋さんは「人々の切実な願いが込められた作品をたくさん展示しているコレクション展。どこか愛らしく愛嬌(あいきょう)のある姿のものがあるので、そういったところを楽しんでもらえたら」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日を除く)。入館無料。12月14日まで。