豊田産業文化センター(豊田市小坂町)で10月16日、「豊田市・デトロイト市 姉妹都市提携60周年記念講演会」が開催された。
豊田市は、「クルマのまち」が縁で1960(昭和35)年9月21日に米ミシガン州・デトロイト市と姉妹都市提携を締結。デトロイト市は、1960年代・70年代に大ヒットした音楽「モータウンサウンド」発祥の地としても知られ、1995(平成7)年11月の豊田市美術館開館時のデトロイト美術館展の開催や1998(平成10)年11月の豊田市コンサートホール開館の際にはデトロイト・シンフォニーオーケストラが初来日し公演を行うなど、さまざまな形での交流が続いている。
同講演会は、両市の長きにわたる交流の歴史や、1965年に始まった交換学生事業について多くの人に知ってもらおうと、姉妹都市提携60周年の記念事業として企画されたもの。
今回は、豊田市の交換学生第1期生として1966(昭和41)年にデトロイト市を訪れ、その後、外務省に入省、在ドイツ日本国大使館特命全権大使などを歴任し、現在は外務省の参与を務める中根猛さんが、「世界と向き合い世界で働く」と題して講演した。
講演では、スクリーンに当時の写真や資料を映しながら、入省して42年の外交官人生を振り返る形で話が進められ、その中で、中根さんは「デトロイトに行って一番強く感じたのは、国籍が違っても人は分かり合えるということ」と話し、デトロイトでの生活が、おぼろげだった将来の道をはっきりさせ、その後の人生に大きな影響を与えた体験だったと語った。
このほか外交官として赴任したドイツや、スイス、韓国など、さまざまな国でのエピソードや若い世代でのグローバル人材の必要性を強く訴える場面もあり、来場者は真剣な表情で中根さんの話に耳を傾けていた。