豊田市美術館(豊田市小坂本町)で4月3日、豊田市制70周年を記念した企画展「ボイス+パレルモ」が開幕した。
同展は、20世紀を代表する芸術家の一人で、「本当の資本とは人の持つ創造性である」と主張し、多彩な表現方法によって芸術をさまざまな社会領域へと拡張していったドイツの芸術家、ヨーゼフ・ボイスと、デュッセルドルフ芸術アカデミーで、ボイスの指導を受けた後、絵画のあり方自体を再構築し、布や金属パネルなどを用いた絵画作品や、画廊や美術館にさりげなく描いた壁画作品などを制作し30代で早世したブリンキー・パレルモの対照的な2人の芸術家にスポットを当てたもの。日本では約10年ぶりの開催となる「ボイス展」として、公立美術館としては初の「パレルモ展」として注目を集めている。
会場には、一見対照的と見られるボイスとパレルモの1960~1970年代の作品を中心に約130点を展示。中でも、4メートルを超える柱と金属の長い枝で構成される「ユーラシアの杖(つえ)」と題した作品は、東西冷戦下のヨーロッパからユーラシア大陸を再接続しようと試みるボイスのパフォーマンスで用いられたもので、日本では初公開となる。
このほか、国立国際美術館が新たに収蔵する「小さな発電所」や初期のドローイング、フェルトを用いた作品などを展示。一方、既製品の布を組み合わせて抽象絵画のように見立てた「布絵画」や、金属パネルに色彩を配する晩年の「金属絵画」シリーズなど、近年、評価が高まっているパレルモの作品も展示するもので、充実した内容となっている。
担当する同館の鈴木俊治・学芸員は「今の現代美術の源流となったボイスとパレルモを紹介している。2人の作品をこの規模で見る機会は今後数十年、もしかしたらないかもしれない内容になっているので、ぜひご覧いただければ」と話す。
開催時間は10時~17時30分。月曜休館(祝日は開館)。6月20日まで。7月から埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市)、10月から国立国際美術館(大阪市北区)で巡回展示を予定。