豊田市指定文化財の猿投神社山中観音堂(豊田市猿投町)で5月18日、保存修復工事が完了したことを記念して修復公開現地説明会が行われた。
約1200年前に造られた県指定文化財 猿投神社山中観音堂・木造千手観音像
猿投神社は豊田市の最北端に位置する猿投山の麓にあり、三河国三宮として古くから信仰を集めている。今回、保存修復工事が行われた観音堂は、本殿から北東約300メートル離れた猿投山登山道の入り口に位置し、細部に室町時代末期の特徴が見られる市内最古の仏堂建築とされている。
観音堂の本尊である木造千手観音立像は、平安時代の神仏習合の様相を今に伝える貴重な文化財として今年1月、愛知県指定文化財に指定され、県内の指定文化財として現存する8体の千手観音像の中で最古かつ最大級の像となる。
この日は、神社関係者や周辺住民ら約30人が出席。専門家から2020年6月から行われてきた修復工事の過程や同観音堂の建築的な特徴などの説明を受けた後、観音堂内や当日限定で特別に開帳された千手観音像を拝観した。
豊田市文化財課の森泰通・文化財担当専門監は「長い歳月、地元の宝として大事に守り受け継いでもらえていることに感謝している。将来に向け豊田の宝として伝統を受け継いでいきたい」と話す。