豊田の老舗人形店「山田屋」(豊田市錦町)で9月8日、「重陽の節句」にちなんだ菓子まきが行われた。
「菓子まき」は、「桃の節句」「端午の節句」などとともに、古代中国から伝わった「五節句」の一つ。平安時代~江戸時代ごろは最後の節句として最も盛んに祝われていた「重陽の節句」の伝統文化を楽しみながら知ってもらおうと、人形とベビー用品を扱う同店が企画し、初めて開いた。
「重陽の節句」は、無病息災や子孫繁栄を願い、祝いの宴を開いたことが起源とされ、平安時代初期に中国から日本に伝わり、「 菊の節句」とも呼ばれる。
江戸時代には高価なひな人形をしまい続けると、害虫がついたり傷んだりすることも多いため、9月に再び飾り、風を通して長持ちさせることができることから、「菊の節句」に再び飾ることで、長寿を願うという意味を持つ風習が生まれ、大人の女性の健康や長寿を願う節句として庶民の間で親しまれてきた。
三河地方では「重陽の節句」を祝うため、菓子まきや菓子を配る風習があったことから、同店の店員が子どもたちに向けた「菓子まき」を企画。当日は、近隣のこども園に通う児童や保護者ら約100人が参加した。参加した子どもたちは、菓子をまく店員に手を振ってアピールし、笑顔で菓子を拾い集めていた。
加藤浩枝店長は「参加した人の笑顔が見られ、楽しんでもらえてうれしい。今後も五節句を楽しむ文化を多くの人に伝えていきたい」と意欲を見せる。