豊田のコミュニティースペース「kabo.」(豊田市竹生町2)で11月2日、「とよたアートづくりミーティング」と題したトークイベントが行われた。
豊田・竹生の古民家コミュニティースペースで「アートづくりミーティング」
同イベントは、2020年から毎年開催され、中心市街地で文化芸術をより身近に感じられる機会を創出することを目指して、公共施設やホテル、商業店舗などを会場に作品展示、パフォーマンス、マルシェなどを行っている「とよたまちなか芸術祭」の一環で開催した。
当日は、ゲスト講師に岩倉市内でアートスペースを主宰する大野高輝さん、瀬戸市末広商店街で共同スタジオを運営する映像作家の設楽陸さん、名古屋市北区で古民家を活用したまちづくりに取り組む小田井康子さんが登壇。芸術大学に通う学生や芸術家、行政関係者ら15人が参加した。
第1部のゲストトークでは、はじめに大野さんが、空き家を再利用して立ち上げた「project space hazi」の設立経緯や同スペースでの活動などを紹介。東海地区に共同アトリエが少ない理由についても触れ、「県民の県内大学への進学率が、沖縄、北海道に次いで全国3番目に高く、実家から大学に通う学生が多いことから自宅でアトリエスペースを確保できることが要因では」と自身の見解を述べた。
続いて、瀬戸市末広商店街に「タネリスタジオ」を開設した設楽さんが「当初は仲間を社会からの断絶から救い、アーティスト同士のつながりを取り返す場所としてスタジオを立ち上げた」と設立経緯を説明。「人通りが少ない商店街での活動に周囲から理解を得られていなかったが、次第に商店街の人との交流が生まれ、今では商店街に活気を生む存在になっている」と話した。
最後に小田井さんが、夫が祖父母から古民家を相続したことをきっかけに東京から名古屋に移住し、譲り受けた古民家を利用して、日常でアートに触れられる環境づくりを考えて活動を始めたことを紹介。夫婦でフリーマーケットに出向き、出展者に直接声をかけ、入居者を募ったことや、個性的な店が増えたことで周辺の街全体の雰囲気が変化してきたことを説明した。
第2部では、ゲストと参加者によるワークショップを行い、3つのグループに分かれて「アートとまちの関わり」をテーマに議論を展開。「地域づくりにアートを用いるというよりも、アート拠点を始めたことが地域の交流を生み出す結果に結び付いた」と話すなど、アートの持つ可能性と地域づくりへの効果について理解を深めた。