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中村いてうさん、豊田市能楽堂が講演 歌舞伎伝承館5周年記念で

豊田市立飯野小学校歌舞伎クラブの児童に歌舞伎の所作を指導する中村いてうさん。

豊田市立飯野小学校歌舞伎クラブの児童に歌舞伎の所作を指導する中村いてうさん。

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 豊田市能楽堂(豊田市西町1)で5月8日、「中村いてう講演会~地歌舞伎から大歌舞伎への道」が開催された。

中村いてうさん、豊田市能楽堂が講演 歌舞伎伝承館5周年記念で

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 同講演会は、豊田市中山間部に伝わる地歌舞伎の紹介と伝承を行っている「豊田市歌舞伎伝承館」(小原町)の開館5周年を記念して、豊田市と豊田市文化振興財団が開いたもの。同市小原地区と隣接する岐阜県恵那市(旧山岡町)出身で、郷土の伝統芸能「地歌舞伎」を経て、プロの歌舞伎役者として活躍する三代目中村いてうさんを講師に迎え、講演と歌舞伎の公開ワークショップを行った。

 第1部は「地歌舞伎から大歌舞伎へ」と題して対談形式で講演を行った。進行役の「エフエムとよた」パーソナリティー甲田陽子さんとスライドを用いて、幼少期から歌舞伎役者までの歩み、歌舞伎役者としての活動について紹介。地歌舞伎の振付師をしていた祖父への憧れや小原地区との縁、師匠である十八代目中村勘三郎さんとのエピソードなどについてユーモアを交えて話すと、会場は笑いに包まれた。

 第2部では、実演とワークショップが行われ、いてうさんが見得の意味合いや感情表現について実演を交えて紹介。続いて、小原に隣接する藤岡地区の飯野小学校歌舞伎クラブの児童4人と児童らに指導している藤岡歌舞伎のメンバー3人が「白浪五人男」の名場面を実演すると、いてうさんは立ち姿や所作、せりふ回しなどについてアドバイスした。参加した児童からは「自分の知らないことを知ることができて楽しかった」「せりふの言い方を変えることで印象が変わるので、もっと研究したい」などの声が聞かれ、歌舞伎への関心をさらに深めている様子がうかがえた。

 講演会を企画した豊田市文化振興財団の光武さんは「豊田市には地歌舞伎を伝承する3つの団体があるが、後継者の育成が課題となっている。地歌舞伎に関わる小学生がプロの歌舞伎役者から直接指導を受けることはとても貴重な機会になったと思う。これをきっかけに地歌舞伎の伝承に目を向けてもらえれば」と話し、いてうさんは「地歌舞伎は自分の原点。最近の地歌舞伎は大歌舞伎の演技に影響されがちだが、地歌舞伎が守ってきた演技や形を守って、それぞれの輝きを大切に続けていってほしい」と述べ、地歌舞伎の伝承に期待を込める。

※初回掲載(5月11日)時に中村勘三郎さんのご紹介を三代目と表記しておりましたが正しくは十八代目でした。お詫び訂正申し上げます。

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