豊田市足助地区の旧料亭「寿ゞ家(すずや)」(足助町本町)で5月13日~15日、アートイベント「窯出し山本安朗南蛮焼〆と花の宴」が開催された。
会場となった「寿ゞ家」は大正から昭和にかけて高級料亭として建てられ、1983(昭和58)年頃に廃業し、その後、空き家となり使われなくなった木造建築物。豊田市の隠れた文化財や特色ある職人などの魅力を伝え、まちづくり活動に取り組む団体「地域文化学研究所」が新たなまちづくりの場として活用しようと再生に取り組んでいる。
同展は、東京を拠点に全国主要都市で釉薬をかけず高温で焼いた南蛮焼き締めを手がける陶芸家・山本安朗さんの作品と、多摩美術大学日本画科を経て花人として活動する、さかもとなつみさんとのコラボレーションとして、元豊田市職員で、生け花作家として活動する、かとうさとるさんが企画した。
中日の14日には、「花の宴」と題した投げ銭ライブを開催。南野梓さんによるバイオリン演奏に合わせて青木美佐さんが着物パフォーマンス、DALYAさんが舞踊を披露。続いて、しの笛の演奏が行われ、来場者は「寿ゞ家」を舞台に南蛮焼き締めと花の織り成す独特の情緒ある空間を楽しんでいた。
主催のかとうさんは「山本さんの愛知県初の個展として、香嵐渓の春紅葉の新緑が映える季節に合わせて開いた。寿ゞ家は日常を豊かにしてくれる空間で、作品の個性を最大限引き出し、手応えを感じている」と話し、地域文化学研究所の天野博之代表理事は「かつて料亭として人々の交歓の場として使われてきた。こういう機会を通じてさまざまな人が交流し、建物の魅力を再発見してもらえれば」と期待を込める。