豊田市西部コミュニティーセンター(豊田市本新町7)と毘森公園(小坂町1)内の拳母中央地区防災倉庫で4月13日、車中泊避難者を想定した避難所運営訓練が行われた。
豊田市、車中泊を想定した初の避難所開設訓練 クルマ避難者に備える
訓練は、2020年度から毎年実施している「避難所運営訓練」の一環。今回は市内全121カ所の指定緊急避難場所と3つの臨時避難所の班長・副班長を務める市職員248人を対象に実施した。
初日には、市職員37人と豊田市自主防災会連絡協議会の役員らが参加。公式には車中泊を推奨してないものの、2016(平成28)年に発生した熊本地震で約6割の避難者がクルマで避難し車中泊していたことから、トヨタ自動車の協力で今年3月に作成した「車中泊避難ハンドブック」などを用いて、災害発生時に対応が必要となる車中泊避難を想定した訓練に取り組んだ。
訓練では、防災対策課の職員が、避難所の開設方法や避難者の受け入れをはじめ、車中泊の避難者が避難所を訪れた際の対応や市が所有するPHV車を用いた電源確保、防災倉庫の使い方について説明。
トヨタ自動車の担当者は、車中泊を行う際の注意点やミニバン、SUVなどタイプ別のシートアレンジなどを解説。その中で「大型ミニバンでも大人2人の収容が限界」「狭い車内で長時間足を曲げているとエコノミークラス症候群になる恐れがあるため、座席の足元のスペースに荷物やクッションなどで隙間をなくし、足を伸ばしやすくすると寝やすくなる」など、実演を交え車中泊に適した使い方を紹介した。
訓練に参加した地域支援課の河瀬さんは「コロナ対策を踏まえてどのように対応すべきか実際に体験でき良かった。避難所運営は市職員だけでは難しい部分もあるので住民の力を借りて運営していければ」と話し、豊田市自主防災会連絡協議会の酒井会長は「豊田市民は避難することに慣れていない人が多いが、怖いと思ったら隣近所誘い合って避難してほしい」と呼びかける。
防災対策課の中島さんは「基本的には緊急避難先への避難が優先であるものの、車中泊避難を希望する人も多いので、エコノミー症候群で命を落とす危険を予防することを周知する目的で初めて開いた。3月に市が作成した車中泊ガイドブックを通じて、正しい情報を伝えていきたい」と話す。