特別展「全国の郷土人形-祈り・願い・美しさのかたち」が現在、豊田市民芸館(豊田市平戸橋町)で開催されている。
豊田市民芸館で郷土人形展 全国の地域色豊かな人形2000体展示
郷土人形は、江戸時代中頃より、節句物、縁起物として日本各地で制作されたもの。江戸時代前期に権力階級や裕福な人々の間で流行した着物をまとったひな人形や御所人形といった高価な人形に代わり、庶民の間で身近な紙・木・土などの材料で作られるようになったのが郷土人形の始まりとされている。
同展では、日本各地の特徴的な人形を紹介するとともに、愛知県内の代表的な土人形の産地である名古屋や三河、犬山の人形など、素朴な美しさを持つ全国の郷土人形を紹介。第1民芸館では、静岡から東北地方にかけて、第2民芸館では、愛知から沖縄までと、地域を分けて大小さまざまな郷土人形、合わせて約2000体を展示している。
郷土人形には、人々の暮らしの中の祈りや願い、憧れが込められている。会場には、子どもの健やかな成長を祈った人形、疫病などの身代わりとなる人形、魔よけの力を持つとされる赤色を多く使った人形などを並べる。そのほか、子孫繁栄を願って動物をモチーフにした人形や子どもに愛されたおもちゃとしての役割を持った人形もあり、その地域ならではの色彩や模様、技法、形などの特徴を持つ。中には、滑稽な表情やしぐさをしている人形もある。
同館の都筑正敏館長は「郷土人形には庶民の祈りや願いが込められていたり、それぞれの地域特有の風土が色濃く反映されていたりする。『人情』『ユーモア』『機知』のほか、現代にもつながる『かわいい』ものが多く表現され、表情が生き生きとしていて、元気をもらうことができる。全国の郷土人形を一堂に見ることができる貴重な機会なので、ぜひ、ご覧いただけたら」と来館を呼びかける。
開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は、一般=300 円、高校生・大学生=200 円、中学生以下、 豊田市内在住・在学の高校生=無料。5月7日まで。