「防災・減災」をテーマにした講演会とシンポジムが11月11日、日本赤十字豊田看護大学(豊田市白山町)で開催された。
日本赤十字豊田看護大で開学20周年講演会 「医療現場の被災」テーマに
同大は、戦時下の1941(昭和16)年に創立された日本赤十字社愛知支部病院救護看護婦養成所を起源とし、??字の「?道」の理念の下、広く社会に貢献できる看護師や保健師を育成している?学として2004(平成16)年、豊田市で開学。今年20周年を迎えたことから、記念事業として医療現場の視点から「防災・減災」を考える講演会とシンポジウムを企画した。
第1部の講演会では、あいち・なごや強靭化共創センター?で、日本地震工学会会長を務めた名古屋大学名誉教授の福和和夫さんが登壇。「温故知新と居安思危で?災害時の医療を持続する」をテーマに講演を行った。
この中で、行政が主導する治水事業により、風水害が抑えられ高度経済成長が実現したが、住宅や工場などの建物は、行政ではなく個人や企業が所有しているので行政の力が十分及ばない。日本国憲法第25条「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の下、各法律が定められ、建物は経済性やデザインを優先し最低限度の安全性しか確保していない。これからは自分事と捉えて、企業や個人が建物の耐震化に取り組むべきと行動の実践を訴えた。
医療現場における課題についても触れ、地震・津波・台風・噴火等の災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する災害拠点病院のうち、東海地方では約半分が機能しなくなる恐れがある。日頃から災害を想定した備えが必要と説明。耐震化が遅れている一般病院については、多くの病院が機能維持できず、それにより入院患者が犠牲となる震災関連死が膨大に増加することが想定される。早急に対策をとるべきと、来場した医療関係者に提言した。
続く第2部では、医療現場に臨む日本赤十字社の職員や地元企業を代表してトヨタ自動車の関係者らも参加してシンポジムが行われ、医療現場における災害対応の重要性について議論が交わされた。