城郭考古学者の千田嘉博さんの特別講演会が3月9日、豊田市民文化会館(豊田市小坂本町12)で開催された。
松平の事をもっと知ってもらうとともに、興味を持つきっかけにしてもらおうと松平観光協会設立30周年記念事業の一環として開かれた同講演会。当日は、豊田市出身で名古屋市立大学高等教育院教授などを務める千田嘉博さんを講師に迎え、1300人収容の大ホールが満席となった。
講演会に先立ち、太田稔彦豊田市長があいさつで、「『豊田市が城という大切な財産を持っている』ということに気づいていない方も多いので、講演会が豊田の城を詳しく知るきっかけになれば」と期待を込めた。
千田教授は講演で、最初に城の建築が増えた戦国時代の武将や政治の時代背景など、城の文化が広まった時代について紹介し、「地域が地域のために力を使って、経済と文化が栄え、今日に続く、列島文化の多様性が生まれた」と話した。
続いて、松平地区にある「大給(おぎゅう)城」に焦点を当て、城の歴史について触れながら、石垣の城であったことや、戦国時代に落城した時に攻められたポイント、それを教訓に守りを固めたことなど、当時、松平地域が石垣の城を作る最先端の技術を持っていたことを解説。
幻の城と呼ばれる「拳母(ころも)城」も紹介し、「この図面を設計した人は、軍学を学んでいたのでは」と、スクリーンに図面を映しながら、江戸時代の侍が考えた理想の城であったことを紹介すると、来場者は興味深そうな表情を見せ、豊田の歴史ある城について理解を深めていた。