
「小原歌舞伎保存会発足50周年記念式典」が5月25日、五月公演に合わせて小原交流館(豊田市永太郎町)で開かれた。
小原歌舞伎は、江戸時代中期に始まり、豊田市の無形民俗文化財として多くの人に愛されている貴重な伝統芸能。歴史が途絶えた時期もあったが、昭和四十七年豪雨災害(通称「47災害」)で被災した小原の人たちを元気づけようと再興され、1975(昭和50)年4月1日に小原歌舞伎保存会が発足。今年50周年を迎えた。
同日の記念式典には、太田稔彦豊田市長や豊田市文化振興財団の豊田彬子理事長、小原歌舞伎保存会の永江正人会長をはじめ、地元の関係者らが出席。
式典で太田市長は、子ども歌舞伎に出演している子どもたちを例に挙げ、「小原でしかできない経験がある。こうしたことを地域の大人が自信を持って伝えていくことが大切。『ここでしか』『今しか』できないことを伝えていくべき」と述べた。豊田市文化振興財団の豊田理事長は「郷土の歌舞伎伝承は、地域の愛着につながり、それが豊田市全体に広がっていく。今後も益々の発展を願っている」と、日頃の伝統芸能の伝承活動に対し、感謝の言葉を述べた。
続いて、長年、保存会の活動に尽力・協力してきた人や、子ども歌舞伎に出演してきた子どもたちに感謝状が贈呈され、会場からは盛大な拍手が贈られた。
式典終了後に行われた五月公演では、和紙のふるさと太鼓による演舞で華やかに幕開けした後、友情出演として、藤岡歌舞伎による「寿式三番叟」を上演。昼休憩に続き、子ども歌舞伎による「白浪五人男 稲瀬川勢揃いの場」、小原歌舞伎保存会による「奥州安達ケ原 三段目 袖萩祭文の場」が演じられ、会場は一日、祝賀ムードに包まれた。
小原歌舞伎保存会の永江会長は「50周年を迎えられて、うれしく思う。メンバーの高齢化で大変だが、次世代の子どもたちが一生懸命やってくれているので、しっかり継承はできると思っている」と自信を見せる。