豊田の老舗人形店「山田屋」(豊田市錦町)で2月26日、 「日本のOMOTENASHI 和菓子つくり体験」が行われた。
老舗和菓子店がタッグ 豊田の人形店「山田屋」で和菓子作り体験
体験会は、「桃の節句」を前に、平安時代に始まり、江戸時代に女の子の健やかなる成長と良縁に恵まれることを願い盛大に行われ、現代まで続く伝統文化を楽しみながら受け継いでもらおうと、1872(明治5)年に創業し、人形とベビー用品を扱う同店が150周年を記念して初めて開催した。
当日は、名古屋市に本店を構え、東海地区を中心に展開し、アメリカの首都ワシントンDCにも店舗を構える老舗和菓子店「御菓子所 松河屋老舗」の社長で菓子職人の西野嘉孝さんを講師に迎え、事前に申し込んだ家族連れや女性など約30人が参加した。
西野さんが日本の伝統文化である五節句や和菓子の歴史について紹介。その中で、「和菓子という言葉は、西洋文化が入ってきた明治以降に誕生し歴史は浅いが、上生菓子といわれるものは、自然をモチーフに300年前の元禄文化で完成した。和菓子は視覚、嗅覚、味覚、触覚だけでなく、菓子名を直接的表現でなく、間接的に耳で聞いてストーリーをイメージするよう名付けられていて、聴覚も含めた五感で楽しむ唯一の食文化」と説明すると、参加者は納得したようにうなずき、和菓子の持つ奥深さを実感していた。
その後、参加者は白小豆をベースに色付けしたピンクや緑のあんこと北海道産小豆こしあんを用いて、貝をイメージした「引ちぎり」と桜の形をした練りきりの2種類の上生菓子作りに挑戦。西野さんの実演を見ながら、へらや箸などの道具を用いて、桜や貝をイメージした和菓子を仕上げた。参加した女性は、「普段口にはするが作るのは初めて。うまく仕上がって楽しい」と話し、満足した表情を見せた。
西野さんは「伝統を分かりやすく伝える責任がある。和菓子への思い入れを持ってもらうことで、日本人が持つ自然やものを大切にする気持ちを失わないようにしていければ」と話す。
加藤浩枝店長は「参加した人の笑顔が見られ、楽しんでもらえたことがうれしい。今後もひなまつりを楽しむ文化を多くの人に伝えていきたい」と意欲を見せる。