豊田市出身の仏師で、令和6年度豊田芸術選奨を受賞した長谷法寿さんの講演会が5月3日、豊田市民文化会館(豊田市小坂本町12)で開催された。
長谷さんは、特撮映画を製作する円谷プロに憧れていた小学生の頃、修学旅行で訪れた寺院で仏像の魅力に引き込まれ、仏教系の高校・大学へ進学。仏教美術を学んだ後、仏師として技術を磨き、これまで200体余りの仏像を制作するなど、仏教美術の振興に貢献してきた。
今回の講演会は、令和6年豊田芸術選奨を受賞したことを記念して開かれたもので、同館小ホールには200人余りが来場した。
講演の冒頭、司会者とかけ合いながら、旧字体の「佛」と簡略化した「仏」の2つの漢字について、旧字体は「超人」を表し、簡略化した文字は「普通の人」を指すことを紹介。その後、テーマの「仏像はなぜ木彫が多いのか」について、仏教文化が誕生したインドや伝来していった東アジアや東南アジアの仏像の違いを説明した。
その中で、日本では木材が豊富で、ノミと木づちで彫ることができるので木像が多いが、発祥の地インドでは石像が多く、中国では土で作られた塑像が多いこと、さらにタイは雨が多いのでレンガまたは石のレンガを用い、表面に石灰を塗っていることなどについてスライドを用いて解説すると来場者は熱心に耳を傾けた。
後半は、来場者から寄せられた質問に答える時間が設けられ、「一本の木から仏像を彫る場合はどのように彫るのか」という質問に、長谷さんは「上の方から顔を先に進めて、手や足に進める」と答えた。
「寺ごとに本尊が違うが、決まりはあるのか」という質問には、「特に決まりはないが、千寿観音は平野部の川が流れるところに多く、十一面観音は山の上に作られることが多い。日本では病気と天災が困り事なので、病気は薬師如来、天災には力強い不動明王に守ってもらうということだと思う。土地土地の由来背景や調べてみるのといいのでは」と話すと、来場者は興味深そうな表情を見せ、仏教や仏像について理解を深めた。